Deep Consulting株式会社(代表:新田渓)は、異常データが頻繁には発生しないような現場における異常検知を可能にするアルゴリズムの実用化に向けた研究を開始した。
本技術の研究およびクライアントへの提供を通じ、従来は熟練した作業者が時間をかけて検品する必要があった工程の自動化・効率化を達成する。
- 検品工程における異常検知の重要性と課題
製造業において、検品工程は自社製品の信頼に関わる重要な工程である。
また、機械の構成部品に異常品が含まれていた場合、想定していない動作の原因となってしまうため安全面においても重要な役割を担う。
異常検知の手法として、従来では閾値による判定(*1)、最近ではディープラーニングによる手法が盛んに研究され、実用化においても主流とされてきた。
しかし、ディープラーニングを用いた手法には課題として
- 正常 / 異常データの両方が一定以上ない場合、理想とする異常検出の精度が出ない
- データの収集に時間と工数がかかる
- 一定以上、ディープラーニングの経験があるエンジニアが社内にいないと内製化できない
- 外注するとしてもデータの収集は自社でする必要がある or 別料金のため高額になる
などがあった。
特に、異常が発生する頻度が極めて低い場合、正常データは集まっているが異常データが不足しているためにモデル構築ができない。といった事例が多くあった。
*1:「閾値」は単純に境界となる値を指す。つまり閾値による判定は、ある一定以上の値を異常だと判定する手法。
- 少量の正常データセットから異常検知を可能にするアルゴリズム
Deep Consulting株式会社は、従来のディープラーニングを用いた手法による異常検知の課題を克服するため、少量の正常データのみからモデルを構築し、異常検知を可能とする手法を発明し、実用化に向けた研究を開始した。
- アルゴリズムの特徴
アルゴリズムの特徴は下記。
- 正常データのみ収集すれば異常検知が可能
- 異常検知のシステム構築期間・コストを大幅に短縮
特徴①「正常データのみ収集すれば異常検知が可能」
少量の正常データによる学習のみで異常検知が可能である。
ディープラーニングを用いた通常の異常検知システム構築では、正常データと異常データが大量に必要だったが、弊社アルゴリズムは汎用的な特徴量を用いることで異常データを学習せずに、かつ正常データも少量の学習で済む。
それによりデータ収集を外注する費用の削減が見込める。
特徴②「異常検知のシステム構築期間を大幅に短縮」
システム構築期間を大幅に短縮できる。
通常、異常検知のシステム構築には
- データ収集のための環境構築
- データ収集(通常6か月~)
- データをもとにモデルを構築
- モデルの検証
- 満足のいく精度が得られるまで1~4を繰り返す
というステップを要する。
満足のいく精度を達成するまで検証を繰り返し、その都度データの収集も追加でする必要がある。
そのため、システム構築には長期間かかることが普通であった。
しかし、本アルゴリズムではデータ収集が少量の正常データのみで済むため、従来の手法と比べた際に格段にシステム構築期間を短縮することができる。
また、それに伴って費用も削減することができる。
- 本アルゴリズムの活用例
本アルゴリズムは、例えば以下のような事象において活用することができる。
- 自動車メーカーの生産ラインの電動機の故障検知
- 家電メーカーの生産ラインの設備の故障検知
- 電力会社の風車・太陽光パネルなどの発電機の故障検知
上記の例に限らず、時系列データを用いた異常検知であれば本アルゴリズムを活用することができる。
- 今後の展望
Deep Consulting株式会社は本アルゴリズムの研究および実用化を一層進めるとともに、自社が得意とする技術であり既に実績のある
- 時系列データの分析(売上予測などに活用)
- 動画データ自動モザイクAI「Masking-AI」
などと本アルゴリズムを組み合わせることで、より広範囲なクライアントに向けてAIによる課題解決の支援を行っていく。